8800億円の請求書 2014 11 30
書名 アメリカはいつまで超大国でいられるか
著者 加藤 英明 祥伝社新書
アメリカ人が、著者に、こう尋ねた。
「アメリカが中東の石油を必要としなくなったら、
今は、ペルシャ湾の自由航行を護るために、
第五艦隊を貼り付けているが、撤収することになるね。
年間80億ドル(約8800億円)も、かかっている。
アメリカが第五艦隊を引き揚げたら、
日本が、その後を引き受けてくれるかね?」
(以上、引用)
アメリカでは、時々、国防長官の交代がありますが、
誰が次の国防長官になっても、
国防予算をどう削減するかが、重要な仕事です。
一方、アメリカでは、シェール革命により、
世界最大の「産油国」になることが有力視されています。
さあ、日本は、どうする。
海上自衛隊の大艦隊をペルシャ湾に駐留させるのか。
それとも、毎年、必要経費をアメリカに支払うのか。
もちろん、サウジアラビアも、
アメリカが第五艦隊を引き揚げたら、大いに困ることになるでしょう。
なにしろ、ペルシャ湾を挟んで、
中東の軍事大国であるイランと対立しているからです。
サウジアラビアは、人口が少ないので、
どう頑張っても、軍事大国になることはできません。
もちろん、ひとつだけ方法があります。
核兵器を開発しているイランと同じように、
サウジアラビアも、核兵器を開発するか買うという方法があります。
ただし、核兵器を開発するにしても、買うにしても、
ハードルが高いものとなります。
そうなると、サウジアラビアと日本は、
ペルシャ湾をめぐって、お互いに軍事同盟を必要とする国になりますか。
アメリカは、シェール革命がなくても、
「あんな危険なところから引き揚げたい」というのが深層心理でしょう。
アメリカは、キリスト教国です。
聖書の最終章には、恐ろしいことが書いてあります。
どう読んでも、人類にとって「最終的な戦争」は中東で起こると読めます。
こうした聖書を子供の頃から読み聞かされてきたアメリカ人にとっては、
中東の石油を必要としなくなったら、早く引き揚げたい気分でしょう。
Lexus-A時代を、日本は、どう生き残るのか。
「Lexus-A」とは、 東京大学准教授の池内恵氏が作った言葉です。
これは、「League of Ex US Allies」の略であり、
日本語では、「元アメリカ同盟国連盟」だそうです。
サウジアラビア、トルコ、イスラエル、日本、さらに英国がメンバーらしい。
おそらく、アメリカ本土が攻撃されない限り、
アメリカは動かないと考えておくべきでしょう。
それが、同盟国の、いや元同盟国の心得でしょう。